20年後を想像してみましょう。
不登校の子どもを持ち、将来に不安を感じている保護者に対して
「20年後を考えてみましょう」
と話すことがあります。
「20年後まで不登校が続いたらどうなるか」と心配するのではなく、冷静に希望を持ちながら20年後を考えてみるのです。
遠すぎて曖昧な未来を思うのではなく、かといって目先のことにとらわれるのでもなく、
リアリティを持って想像することが可能な20年後を設定します。
以前、不登校の子どもを心配している人は子どもの老後まで心配するのだろうかと述べました。
しかし、実際に心配している未来は「目先」のこと か、「漠然とした未来」のことが多いのです。
「高校へ行けるのか」「将来、ちゃんとした大人になれるのか」のように。
「目先」の先が見えないことで、 漠然とした不安だけが先走っては、余計に不安が募るだけです。
「今」休むことが20年後の健康に繋がる。
小中学生のうちに3年間、学校を休んだとします。
10歳の子なら3年後は15 歳、15歳の子でも18歳です。
その3年の間、疲れきった心をしっかりと休ませ、英気を養うことができれば十分に再出発のできる年齢です。
進学、就職、 趣味や夢、できることはたくさんあります。
そして休んでいる間に、家族との 絆や大人との信頼関係を高められ、味方の存在を信じることができるようになる可能性もあります。
心が回復し、英気を養い、味方と共に再出発をし、そして20年後、30代を迎えた彼・彼女は生き生きと暮らすことができているように思えませんか。
もちろん、20年の間には挫折も経験するでしょう。
しかし、不登校というものを経験し、そのときに家族が見守り、力になってくれたことを糧にすれば、挫折も乗り越えられるように思えませんか。
50~60代になったあなたは、当時の苦労を笑いながら話せるようになっているかもしれません。
それが20年後の風景です。
逆に、無理に学校へ行かせ、つらい気持ちにさらなるプレッシャーをかけられ、
それでも親の希望通りに「目先」の進学を果たし、親の漠然とした不安を消すためだけに過ごし続けたら、
心の状態は疲弊を繰り返すだけです。
そして、回復する時期を与えられないまま20年を迎えることになります。
「今」無理をしたら?
仮に、20年後まで無理をし続けてしまい、心の疲れが限界となり、加えて、 親を信用できない、
周りに味方がいないと感じてしまえば、30代にして心は破綻状態を迎えます。
30代で3年くらいの「ひきこもり」期間を過ごした場合、再出発のハードルは現実的に高い。
「周りは学校へ通っている」どころではなく、「周りは働いている、結婚をしている、家族を養っている」という状況下で、
プレッシャーも増すばかりです。
50~60代のあなたにまだ支える元気があるかどうかもわかりません。
いままさに悩み苦しんでいる30代の人は、もちろん今からでも心を休ませて欲しいですし、40代からの再出発を期して欲しいと思います。
ただ、小中学生の不登校生に関しては、20年後を考えてみてあげてください。
「漠然とした未来」 への不安から「目先」にこだわって無理をさせるのか、それともいまこそ子どもの心を休ませてあげるのか、
20年後を思い描いてみれば答えは自然と出てくるのではないでしょうか。
(この記事は、REO代表の阿部の著作『不登校は天才の卵』の内容を改変して作成しています。書籍の詳細はこちら)