いじめを見逃さないために
いじめが原因の不登校は昔から一定数存在しています。
いじめにあっている場合は、本人の意思にかかわらず、すぐに学校を休ませることを強くすすめています。
というのも、いまのいじめは昭和の頃の ような「いじめっ子が殴る」といったレベルのものではないからです。
エスカレートすると大金を要求されたり、性的ないやがらせにまで発展してしまうこともあります。
できるだけ早いうちに発見して、学校や相手の親とともに解決策を見つけなければいけません。
そして、解決するまではいじめという危険な場所からは物理的に子どもを遠ざける必要があります。
これは不登校というよりも「避 難」と考えてください。
学校の対応が信頼できず、自分たちの力ではどうにもならないようであれば、引越しや転校もひとつの手段になります。
ですが、いじめを早期発見することは意外に難しいものです。子どもはその事実をなかなか話したがりません。
大人が思っている以上に親のことを考えています。
「いじめられているということをお父さんやお母さんが知ったら、きっと心配する。
言わないほうがいいんだ・・・・・・」
そういう心理が働き、我慢を続けてしまいがちです。
いじめをうけている子が「学校に行きたくない」と言い出すのは、かなりいじめが進行していると考えていいでしょう。
これ以上エスカレートさせないために、その時点で話を聞いてあげてください。
ただ、そのときはあなたは完全に受け身の状態でなければ意味がありません。
学校に行きたがらない子どもに対して「どうして行かないの?」とあなたは尋ねるでしょう。
そのとき、絶対に子どもの言葉を遮らないでください。
子どもの言葉を遮らないこと
学校に行きたがらない理由をきくと、
「具合いが悪い、お腹が痛い」「○○ちゃんと喧嘩したから」
◇◇ちゃんにいやなことをされた」「××先生が嫌い」
など、いろいろな理由を言うと思います。
親として言いたいことは多々あるでしょうが、子どもが言い終わるまではけっして口を開かないでください。
「何よ、そのくらいで」 「あなたも悪かったんじゃないの?」
子どもがすべて話し終わる前に、あなたが口をはさんだり、子どもの言うことを否定してしまうと
「結局、お母さんに言ってもわかってもらえない。それならもう、言うのはやめよう」と感じます。
そして、彼らは今後、学校で何があったのかを話さなくなりかねません。
そもそも、子どもが不安を訴えるときに親ができることは否定ではなく心配することのはずです。
また、子どもの言葉を否定することは、万一、いじめがあった場合に、
せっかく早めにそれに気づくチャンスがあったのにそれを逃してしまうことになるのです。
いじめには時間の経過とともにエスカレートしていく特徴があります。
そのままエスカレートしていき、本当に人に言えないレベルのいじめに発展することは絶対に避けたいものです。
「まさか、いじめられてるんじゃないでしょうね」
よかれと思って子どもの言葉を待たずに自分が先走ってしまうのもよくありません。
そもそも、本当にいじめを受けていた場合、子どもは恥ずかしい気持ちや心配をかけたくないという思いを抱えています。
それに対してあまりにもストレートに問い詰めたとしても、素直に「うん、そうなんだ」とはなかなか言えないでしょう。
まず、不登校応急処置5か条の「3秒黙る」ルールを思い出してください。
不登校応急処置5か条《親子ともにストレスを減らし、家族関係を今よりも改善するために》
③子どもが何か話したら3秒黙って
子どもの言葉はすべて受け身で聞いてあげることが大切。途中で遮ることがないようにしてください。
なにかしゃべりたくなったら、3秒我慢してください。
子どもの言うことをじっくりと全部聞いたら、 それだけで子どもは安心します。本当にちょっとした友だちとのいさかいだったとしたら少し休めば「やっぱり行こうかな」という気持ちになりますし、それでダメなら「お母さん、じつはこういうことがあって我慢できない」とヘルプを求めてくれるようになります。
また、最近は減りましたが、勇気を出していじめの被害を訴える子に対して 「やられたら、やりかえせ」と突き放すことはNGです。
それが、単なるケンカで仲直りも可能だと判断できる場合ならまだしも、簡単に突き放すことは深刻な事態を招きかねません。
繰り返しになりますが、昔のいじめと同じように考えることは厳禁です。
犯罪まがいのいじめに対し、やり返すも何もありません。 子どもだけで解決することはほとんど不可能ないじめは多発しています。
いじめを訴えてきた子どもに伝えたい言葉は「負けちゃダメ」ではなく「負けでも何でもいいから、とにかく今すぐに逃げろ」です。
勇気を出して逃げて来た子を追い返すような言葉は絶対に避けましょう。
また、いじめにあうのは自分の子どもが弱いからだ、いじめられる自分の子どもにも問題があるのではないかと考えないでください。
本人に何の落ち度が なくてもある日突然、クラス中のいじめの標的になってしまうことは決して珍しくありません。
学校との対立はなるべく避けて
そしていじめを発見して学校へ問い合わせをする際は、最初からあまり対決姿勢で挑まないようにしましょう。
もちろんケースバイケースですが、特に子どもを元の学校に再び通わせたい場合、学校とは良い関係を築いておきたいところです。
あまり親と学校が対立してしまうと、子どもが学校へ戻りづらくなったり、また戻っても学校の居心地がかえって悪くなっていることも。学校を味方にし、学校から協力を得ることが、その後の学校生活ではプラスに働きます。
あまりに学校の対応が不親切である場合は別ですが、最初の段階で「学校は何をやっていたんだ、責任をとれ!」などと対決しすぎないことが得策だと言えます。
(この記事は、REO代表の阿部の著作『不登校は天才の卵』の内容を改変して作成しています。書籍の詳細はこちら)