
はじめに
学校に行く年齢の子が不登校になると、「では、何をしたら?」と戸惑ってしまう方も多いでしょう。
子どもの気持ちや状況に合わせて、選べる道はいくつもあります。
この記事では、状況に応じた7つの選択肢をご紹介します。
選択肢1:家にいる
学校生活や人間関係に疲れてしまった子どもにとって、家はもっとも落ち着ける場所であり、最後の砦とも言えます。
不登校になってまもなくのときは心身が疲れきっているはずですので、のんびりと家で休ませてください。
明らかに人に迷惑をかけることでなければ、やりたいことをやって過ごしてもらって構いません。
好きなだけゲームをして、好きなだけゴロゴロさせてください。
とにかく心の疲れを回復させてあげなければ、次の段階も何もありません。
そのためには、ストレスとなることを減らし、リラックスできる時間を増やすことです。
ただ、会話や声をかけることは忘れずにするよう意識してください。
選択肢2:通信教育・家庭教師
外には出られないけど勉強はしたい、学力はつけたい、あるいは進学したいという場合には、通信教育や家庭教師を検討しましょう。
通信教育の場合、「ちゃんと続けられるかどうか」をあまり考えさせないであげてください。
それ自体がストレスになります。
「続かなかったら、やめればいい」という、気持ちが少し楽になるスタンスをこのときこそ教えてあげましょう。
家庭教師の場合、不登校生に関しては「実績」よりも「相性」の方が大切です。
一緒にいてストレスにならないことを優先し、評判がいい人でも子どもが難色を示したら違う人を探しましょう。
大きなメリットは、人と接する時間を作れることであり、貴重な縁にもなりますので、やはりまずは相性が大切です。
選択肢3:フリースクール
規制にしばられない学校のようなものだと考えてください。
同世代の友だちを作ったり、様々な行事を楽しんだりすることができます。
ただ、同世代が苦手な場合は慎重に考えてあげてください。
また、受験対策などの勉強をしたい子はフリースクールの形式だと物足りなく感じる子は多いです。
最近は様々な形態のフリースクールがありますので、必ず見学や体験をしてから検討してください。
勤務するスタッフとも必ず会って印象を確認しましょう。
評判やシステムだけで決めてしまうことや、子どもの意思を確認しないで決めることは避けましょう。
選択肢4:学習塾
まさに勉強をしたい子、進学をしたい子向けです。
特に、ひとりで黙々と取り組む方が落ち着く子には適しています。
個別指導のスタイルであれば、人間関係のストレスも軽減されます。
ただし、逆に言えば同世代の友だちを作ることは難しくなりますので、そこは本人の意思も聞いてあげてください。
最近は不登校生に対応して日中から授業を行う塾も増えていますが、スタッフが子どもの状態を理解してくれる人かどうかは、必ず会って判断をしましょう。
経験が浅く、若い担当者であっても、理解があり一生懸命に取り組んでくれる塾であれば安心していいと思います。
選択肢5:転校
不登校の理由が学校にあるとハッキリしているときには有効な手段のひとつです。
特に、担任の先生や校長先生の理解を得られない場合などは、転校により一変して学校へ通うようになるケースがあります。
ただし、リスクはあります。
転校先でも通えなかった場合に、子どもが今まで以上に自信をなくしてしまうことなどがそうです。
また、地域によっては引っ越しをしなければならず、経済的な面を含めて難しい場合もあるでしょう。
ですから、「なにがなんでも転校して新たなスタートを!」と焦ることなく、家でゆっくりと心を休ませながら、考えてあげてください。
私立一貫校からの転校
私立一貫校からの転校は違った事情が加味されてきます。
公立と比べて私立の場合は、転校や外部受験をする子に対して「冷たい」のが実情です。
正確には「慣れていない」し「想定していない」ため、ノウハウが乏しく、どうしても親身に転校先や受験先の相談には乗りたくても乗れないという面もあります。
そんなときは、何を優先してあげるべきか、を落ち着いて考えましょう。偏差値や大学進学などは二の次と気づくはずです。
選択肢6:留学
国内よりも海外の方が肌に合うという子はいます。
日本にいるのとは打って変わった表情で違う国での生活を楽しめるようになる子もいます。
本人にその意思があり、ご家庭の事情が可能であれば検討してあげたい方法です。
海外への正規留学では、日本の高校卒業にあたる資格を得ることができるので、大学進学時に帰国をするケースも多いです。
この選択をして良かった、とメリットを多く感じる声が聞かれるのも留学の特徴です。
ただし、親元を離れる、言語や習慣の異なる地域で生活をする、という当然の状況は頭に入れて検討をして下さい。
「行けば何とかなる」という子と、そうでない子がいます。子どもの意思確認をマメにしながら検討をしてください。
選択肢7:カウンセリング
「子どもにカウンセリングを受けさせよう」と考える人が多いのですが、プロのカウンセリングが必要だと感じる子どもはそれほど多くありません。
話を聞いてあげたり、一緒に勉強や作業をしたり、ということで心が回復するケースは多いですが、そのような場合は、特に「カウンセリング」と銘打つこともなく、プロにお金を払うレベルでもありません。
逆に、日本ではまだまだ日常的に「カウンセリング」を受ける習償がないため、その言葉を使うことで、「自分は深刻な病気なのか」と子どもに余計な勘違いをさせてしまう懸念があります。
カウンセリングを受けた方がいいなと感じるのは、子どもよりも親のほうです。
カウンセラー探しは難しいものですが、その人の印象や相性と共に、不登校あるいは子どもに関するカウンセリングや仕事の経験があるかどうかは大事なポイントです。
子どもとの接し方やかける言葉について、具体的な方向性が示されなければ、家に帰ったら元通りの気持ちになり、結局は何も変わらないということになりかねません。
あくまでも、子どもを軸に置いたカウンセリングができるほうを選ぶようにしましょう。
それでもやはり印象や相性は重要。
印象や相性がいいと感じたカウンセラーなら、電話の対応やメール文面だけでもピンと来ますし、その感覚は大切にしてください。
印象が良ければ、電話でのカウンセリングだけでも効果的です。
おわりに
いかがでしたか?
ここで挙げたものは例ですし、ここにない選択肢もあるでしょう。
「基本的には家にいて、週1回フリースクールに行く」
「転校しておいた上で、通信教育を受ける」
など、複数の選択肢を組み合わせることもできます。
しっかり心と体を休ませながら、考えてみてくださいね。
(この記事は、REO代表の阿部の著作『不登校は天才の卵』の内容を改変して作成しています。書籍の詳細はこちら)