不登校の子どもにとって、安心して過ごせる居場所を
学校に行きたくても行けない、不登校の子どもたちは、年々増加しています。
保護者の方のなかには
「このまま学校に行けなかったら…」
「どこに相談すればいいの?」
と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、頼りになるのが「教育支援センター(適応指導教室)」です。
この記事では、教育支援センターの役割や利用の流れなどをご紹介します。
教育支援センターとは?
教育支援センター(適応指導教室)とは、学校に通うことが難しい子どもたちに対して、学習や心のサポートを行う公的な支援機関です。
小中学校の学校内に設置されていることもあれば、市の施設など、公的な建物の中に設置している場合もあります。
令和6年7月時点では全国に12,712校配置されており、そのうち公立小学校は6,643校、中学校は6,069校に設置されています。
これは全国の小中学校の約半数(46.1%)にあたります。
文部科学省は、教育支援センターを「不登校の児童生徒の社会的自立に向けた支援を行う施設」と位置づけており、子どもたちの「学校復帰」だけでなく「社会で自分らしく生きていく力」を育むことが目的です。
文部科学省:不登校児童生徒への支援について
どんな子どもが利用できるの?
教育支援センターは、主に小学生と中学生を対象としていますが、一部の自治体では高校生にも対応しています。
学校に在籍しながら、センターに通うという形を取るため、基本的には在籍校と連携しながら利用することになります。
似たような存在として「フリースクール」がありますが、フリースクールは民間の施設のため、費用がかかることもあります。
一方、教育支援センターは公的機関のため基本的に無料で利用できます。
どんなことをしているの?
教育支援センターでは、子ども一人ひとりの状況に合わせたさまざまな支援が行われています。
<支援の種類>
学習支援:プリントやICT教材などを使った個別学習、自習サポート
心理的支援:相談やカウンセリングによる心のケア
生活支援:生活リズムを整えるためのサポート、集団での活動体験
進路支援:再登校や高校進学のサポートも実施される場合あり
子どもが安心して過ごせるよう、少人数制で、静かで落ち着いた雰囲気の中で支援が行われています。
出席扱いになるの?
「学校に行っていないのに出席扱いになるの?」と驚かれる保護者の方もいるかもしれません。
教育支援センターの通所は、一定の条件を満たせば「在籍校での出席扱い」として認められます。
文部科学省のガイドラインによれば、出席扱いとされるためには以下のような条件が必要です。
在籍校と教育支援センターが定期的に連携していること
子どもに合わせた個別の支援計画があること
学習や生活支援が継続的に行われていること
具体的な判断は教育委員会や学校によって異なるため、まずは在籍校と相談するのがおすすめです。
保護者が知っておきたい、利用の流れ
教育支援センターを利用するには、まず在籍校や教育委員会への相談がスタートになります。多くの場合、以下のような流れで進みます。
担任や校内支援担当へ相談
教育支援センターの見学や面談
利用頻度や時間は柔軟に対応できる場合が多いので、面談時に相談するとよいでしょう。
受け入れの決定、通所開始
費用は原則無料で、給食や教材費のみ必要になる場合もあります。
「いきなり通うのは不安…」という場合は、最初は短時間の利用や週1回から始めることも可能です。
まとめ:学校以外にも安心できる居場所がある
不登校になると、「学校に戻さなければ」と焦る気持ちが出てきてしまいます。
でも実は、子どもが安心して過ごせる場所を見つけることこそが、次の一歩への土台になります。
教育支援センターは、「学校」という枠にとらわれず、子どものペースに寄り添ってくれる場所です。
まずはお住まいの自治体に、どんな支援があるのかを調べたり、学校の先生に相談してみましょう。
コラム:通うことにプレッシャーを感じないで
「教育支援センターに通う=学校に戻るための準備」と考えると、子どもにも保護者にもプレッシャーになります。
多くの自治体では、教育支援センターは「必ずしも再登校を目的にしなくてもよい」「まずは安心して過ごすことが大事」としています。
子どもの今の気持ちを尊重しながら、利用できるとよいですね。