親からの期待に潰されてしまい、不登校になる子どもは沢山います。
皆さんは子どもにプレッシャーをかけすぎていませんか?
期待とプレッシャーをかけられる子どもの負担
4~5人以上の子どもがいた時代は、それぞれの子どもたちが個性に応じて役割を分担することができました。
たとえば、姉は勉強が得意、兄は運動が得意、妹は手先が器用で、弟は人付き合いが上手、といった具合です。
勉強ができる姉は大学に行けばいいし、兄は部活を頑張ればいいということが許されていました。
ところが、いまのように子どもの数が少ないと親はすべての期待をそこに集中させてしまいます。
愚痴をこぼせる相手がいればそれだけで救われます。
きょうだいがいればお互いに慰めあうこともできますし、親の悪口を言ってストレスを発散することができます。
ところが現代は一人っ子が多く、近所づきあいも希薄です。
子どもはたったひとりで親の期待を背負い、そのプレッシャーをひとりで抱えこむことになるのです。
学校から帰って来た彼らがもっとも多く接する話し相手と言えば、期待とプレッシャーをかけてくる親です。
無理に学校に行かせるのは逆効果
これでは疲れ果ててしまうのも無理はありません。
なんとか期待に応えようと頑張っているうちにぷっつりと糸が切れて体も心も動かなくなってしまいます。
たとえば頑張ってもテストで思うように良い点が取れなかったという出来事で大きな挫折感を味わうことをきっかけに学校に行かなくなり、
部屋に閉じこもってしまうこともあります。
スポーツ推薦で進学した子にも同じことが起こり得ます。
家族や周囲の期待を背負って入学したものの、ケガをしてしまうことや、期待通りの活躍ができないことはよくあります。
その挫折感から学校に行けなくなり、閉じこもってしまうのです。
挫折を乗り越え、プレッシャーをはねのける人間になって欲しいとそこで学校に無理に行かせるのは逆効果。
学校は勉強の場であり、友だちを作る場でもありますが、その一方で大人社会を凝縮したような競争社会。
小学校時代に勉強がよくできた子が私立中学に入学した途端、不登校になることがあります。
特に難関中学は各地から優秀な子どもが集まってきます。
その中では小学校時代に優秀だった子の大半は「その他大勢」に埋もれてしまうのです。
繊細で感受性豊かな子ほど挫折感に苛まれて学校に行けなくなってしまいます。
「私はダメなんだ」とうちひしがれている子どもを無理に学校に行かせたら、またプレッシャーをかけることになります。
理由は何にせよ、挫折感を味わい、疲れきってしまった子どもは完全に体と心が回復するまで休ませてあげるほかはありません。
子どものうちに休むことも大切
「そんなことをしていたらずっとひきこもりになってしまうのでは?」 という心配は不要です。
皆、ある程度休んで気が済むと、自分の興味がある勉強や趣味を始め、いずれ進学したり就職したりして社会になじんでいきます。
大人は、彼らが勉強したくなったときに塾やフリースクールなどでそれをサポートしたり、
学校に戻りたくなったらそれができるように手順を整えてあげることが大切になります。
むしろ、大人になってからの「ひきこもり」で苦しんでいる人は子ども時代に無理を重ねてきた人です。
親の期待通り、良い大学に入り、良い会社に就職してきた人が、
たとえば上司に叱られる、失恋するといった挫折をきっかけにひきこもってしまうのです。
そして大人になってからのひきこもりの回復は困難だと言われています。
「ひきこもりはダメだ、不登校のほうが良い」とは言いませんが、子どものうちに不登校という形でしっかり休んだほうが、
その後の人生を考えると親子ともにプラスになると僕は思います。
(この記事は、REO代表の阿部の著作『不登校は天才の卵』の内容を改変して作成しています。書籍の詳細はこちら)