ゲームで頭がおかしくなることはありません
不登校の子どもが夜通し、ゲームをすることはよくあります。それについて心配する人は多いものです。
猟奇的な事件が起こるとメディアが「犯人はゲームの影響を受けたのかもしれない」などと報道するためでしょうか。
ですが、小・中学生がいくらゲームをしても、頭がおかしくなることはありません。
思えば親世代が子どもの頃は「テレビばかり見るとバカになる」なんて言われていました。けれど私たちはバカにならず、こうして大人になっています。それと同じようなことです。
むしろ、ゲームをしたいなら思う存分すればいいと思います。
もちろん、暴力表現や性的な表現のあるものは避けなければいけませんし、そういったゲームをしているなら注意するべきですが、そうでないなら好きなだけすればいい。
逆に中途半端に時間を制限しているうちはなかなかゲームをやめられません。
大人になってからゲーム依存症に苦しんでいる人には、子どもの頃にやりたかったゲームを禁止されていた人が多いようです。
大人になり、親の支配下から逃れた途端に欲求があふれ出し、止まらなくなってしまうのだそうです。
ゲームをしているのは「他にやることがないから」
「子どものゲームをやめさせたい」という人は、なぜ彼らがゲームをするのかを考えたことがあるでしょうか。
不登校の子どもたちは、ゲームが好きでそれをやっているとは限りません。
他にやることがないからやっているだけの場合も多いです。
そして、子どもたちは親以上にもがいています。
「学校に行かなくちゃいけない。行かないとしても勉強しないといけない。でも、できない⋯⋯」
そうかといって、部屋の中でじっとしているのは苦痛です。
手近にあるゲームが、その苦痛をやわらげる唯一の方法なのです。
要は暇つぶしなのですから、子どもはゲームをやり尽くせばいずれ飽きます。
飽きればいずれ他のことに興味を持つようになります。親はそのときが来るのを待っていればいいのです。
昼夜逆転でも、寝ているなら大丈夫
昼夜逆転の生活も気にすることはありません。
「逆転」という以上、昼間は寝ているのですよね。ならばとりあえず、大丈夫です。生活は健康的ではないかもしれませんが。
うつ病や精神的な病気にかかれば、昼夜を問わずに眠れなくなります。
睡眠がとれていれば本人がその生活に飽きれば、自分で生活を見直すようになるでしょう。
マニュアルはありません。「いつまででも構わない」と腹を決める
そう言うと
「自分で生活を見直すようになるのはいつですか」
「タイミングを見計らって学校に行くかどうかを確認したいのですが、どういうときを狙って声をかければいいですか」
という質問が必ず来ます。
しかし、それはわかりません。
子どもは機械ではないのですから、彼らを動かすのに「いつ、どうやって〜」というマニュアルはないのです。
「この本を読んで、よくほめた。3日間ほめて認めてあげたし、ゲームもやらせた。なら4日目には学校に行ってくれるだろう」という計算はできません。
逆に、そういった計算は子どもに見透かされ、学校に行ったり、勉強しようという意欲を萎えさせてしまいます。
「やらせるだけやらせるつもりだけれど、できれば早くこの生活を変えて欲しい」と、中途半端に理解を示している方が不登校は長引きます。
子どもを信じてときを待つと決めたら、「いつまででもかまわない」と腹を決めてください。
(この記事は、REO代表の阿部の著作『不登校は天才の卵』の内容を改変して作成しています。書籍の詳細はこちら)