


玄関までは行けたけれど、そこから動けなくなってしまう。
けれど、お子さまは親を困らせようとしているわけでも、嘘をついているわけでもないことが多いです。
【この記事でわかること】
「明日は行く」は、嘘ではなく本当の気持ちかもしれない
まず大切なのは、お子さまの「明日は行く」という言葉を、すぐに嘘だと決めつけないことです。
夜の時点では、本当に「明日は行ってみよう」と思っていることがあります。
親を安心させたい気持ちや、自分自身の「そろそろ行かなきゃ」という思いが出ている場合もあります。
ただ、「行きたい気持ち」と「実際に行ける状態」は、必ずしも同じではありません。
学校に行きたいと思っていても、朝になると体が重くなる。制服に着替えようとすると苦しくなる。玄関に近づくだけで涙が出る。
そうした状態は、本人の意思が弱いから起きているとは限りません。
不登校の子にとって、学校に行くには大きなエネルギーが必要
学校に行くことは、元気な状態の大人から見ると「朝起きて、支度をして、家を出るだけ」に見えるかもしれません。
けれど、不登校の状態にあるお子さまにとっては、その一つひとつが大きな負担になることがあります。
朝起きること、制服に着替えること、通学路を歩くこと、学校の門をくぐること、教室に入ること。
どれも、本人にとってはかなりのエネルギーを使う行動です。
たとえるなら、けがのリハビリ中に、いきなり全力で走ろうとするようなものかもしれません。
走りたい気持ちはあっても、まだ足がついてこない。無理をすれば、かえって回復が遅れてしまうこともあります。
不登校の回復も、それに近い面があります。
「行く」と言われたとき、親はどう受け止めればいい?
お子さまが「明日は行く」と言ったとき、保護者としてはつい確認したくなると思います。
つい言いたくなる言葉
「本当に行ける?」
「何時に起こせばいい?」
「先生に連絡しておこうか?」
どれも責める言葉ではありませんが、子どもの状態によっては、期待や確認として重く受け取られることがあります。
まずは、あまり大きく反応しすぎず、次のように静かに受け止めるくらいで十分です。
受け止め方の例
「そうなんだね」
「行こうと思えたんだね」
「無理しすぎなくて大丈夫だよ」
こうした言葉は、学校に行けるかどうかを確認するためではなく、お子さまの気持ちを受け止めるためのものです。
また、お子さまが親に心配をかけたくなくて「行く」と言っているように見える場合は、次のように伝えてもよいでしょう。
声かけの例
「無理に『明日は行く』って言わなくても大丈夫だよ。行けそうな気持ちが出てきたら、そのときに一緒に考えようね」
学校に行く・行かないの話題は、親子どちらにとっても緊張しやすいテーマです。
「何を言えばいいのか分からない」「声をかけるほどプレッシャーになっていないか心配」と感じる場合は、日常の会話の仕方から少しずつ整えていくことも大切です。
朝になって動けなくなったときも、無理に理由を聞き出そうとしない方がよい場合があります。
本人も、自分でなぜ動けないのか分からず苦しんでいることがあるからです。
学校への欠席連絡など必要な対応を済ませたら、その日はまず心身を休ませることを優先してもよいでしょう。
行けなかったことを長く話し合うより、少し落ち着いたら普段通りの会話に戻ることも大切です。

「理由を聞かないと、何も解決しないのでは」と感じる方もいるかもしれません。
けれど、不登校の理由は、子ども自身にもはっきり言葉にできないことがあります。無理に答えを出そうとするより、まずは「今は説明できないほど苦しいのかもしれない」と受け止めることが、安心につながる場合もあります。
親も「期待して落ち込む」を繰り返すと疲れてしまう
お子さまの「明日は行く」という言葉に、何度も期待して、何度も落ち込む。
これは保護者にとって本当にしんどいことです。
「また同じことになるのでは」
「期待しない方がいいのかな」
「でも、期待しないのもかわいそう」
そんなふうに、心が揺れることもあると思います。
だからこそ、「行くと言ったら必ず行く」と考えるのではなく、
「行こうと思う日が出てきたんだな」
「でも、当日行けないこともあるだろうな」
と、少し幅を持って受け止めておくことも大切です。
お子さまを責めないようにしようと思っていても、保護者の中に落胆や怒り、不安が溜まっていくことはあります。
それを全部ひとりで抱え込む必要はありません。
信頼できる人に話す、相談機関やカウンセラーに聞いてもらう、同じような経験をしている保護者と話す。
そうやって、保護者自身の気持ちを外に出すことも大切です。
また、不登校の期間は「何も進んでいない時間」に見えてしまうことがあります。
しかし、学校を休んでいる時間にも、心と体を回復させたり、自分のペースを取り戻したりする意味があります。保護者の方が少しでも「今は休むことにも意味がある」と思えると、毎日の見守り方も少し変わってくるかもしれません。
まとめ:「行こうとした気持ち」を大切にしながら、結果にこだわりすぎない
不登校のお子さまが「明日は行く」と言ったのに行けないことは、決して珍しいことではありません。
それは、嘘をついたからでも、親を困らせたいからでもなく、
「行きたい気持ち」と「行けるだけのエネルギー」の間で揺れている状態なのかもしれません。
保護者としては、行けたかどうかだけを見るのではなく、
- 行こうと思えたこと
- 言葉にできたこと
- まだ難しかったこと
を分けて受け止めていくことが大切です。
お子さまの不登校が続く中で、声のかけ方や見守り方に迷うことは自然なことです。
REOでは、不登校のお子さまを持つ保護者の方からのご相談を受け付けています。学校との関わり方、家庭での過ごし方、今後の学び方について、一緒に整理していくことができます。
